はじめに
事業者が市場の状況に応じて自己の販売価格を自主的に決定することは、事業者の事業活動において最も基本的な事項であり、かつ、これによって事業者間の競争と消費者の選択が確保される。
このように、事業者の販売価格は他の事業者との競争において重要な手段となるものであり、販売価格に関する情報を消費者に伝達・訴求するために価格表示が積極的に行われている。
一方、消費者にとっても、価格表示は、商品又は役務(サービス)の選択上最も重要な販売価格についての情報を得る手段である。また、価格表示によって、事業者間や商品間等の価格比較が容易となり、価格表示に基づく消費者の選択が行われることを通じて、事業者間や商品間等の価格競争も促進されることとなる。
しかしながら、実際と異なる表示が行われるなど、価格表示が適正に行われない場合には、消費者の選択を誤らせるとともに、市場における公正な競争が阻害され、上記のような価格表示が持つ本来の機能が発揮されなくなる。
このような観点から、不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」という。)は、事業者の販売価格について一般消費者に実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく有利であると誤認される表示を不当表示として規制している。
本考え方は、一般消費者を対象とした価格表示に関して、不当な価格表示についての景品表示法上の考え方を明らかにすることによって、事業者の景品表示法違反行為の未然防
止とその適正な価格表示を推進し、事業者間の公正かつ自由な競争を促進するとともに、一般消費者の適正な商品又は役務の選択を確保することを目的としている。
なお、本考え方の策定に伴い、「不当な価格表示に関する不当景品類及び不当表示防止法第4条第2号の運用基準」(昭和44年事務局長通達第4号)及び「カラーテレビ等家庭電気製品の希望小売価格の表示に関する取扱いについて」(昭和46年事務局長通達第1号)は、廃止する。
第1 本考え方の構成及び適用範囲
1 本考え方の構成
本考え方は、どのような価格表示が一般消費者に誤認を与え、景品表示法に違反す
るおそれがあるかを明らかにするため、まず、第2において、景品表示法第5条第2号の規定により不当表示として問題となる価格表示について説明を行い、第3から第6までにおいて、価格表示の主要な類型別に、景品表示法上の基本的な考え方及び不
当表示に該当するおそれのある主要な事例を示している。
2 本考え方の適用範囲
(1) 本考え方の対象となる価格表示
本考え方は、製造業者、卸売業者、小売業者、通信販売業者、輸入代理店、サービス業者等、事業者の事業形態を問わず、事業者が、一般消費者に対して商品又は役務を供給する際に行う価格表示のすべてを対象としている。なお、第3以下においては、分かりやすいものとするため、「不当表示に該当するおそれのある表示」において役務の事例を記述する場合を除き、小売業者が一般消費者に対して商品を供給する場合に行う価格表示を前提として記述しているが、その考え方は、基本的には、役務の価格表示及び小売業者以外の事業者が行う商品又は役務の価格表示についても適用されるものである。
(2) 本考え方の対象となる表示媒体
価格表示については、商品本体による表示(商品に添付又は貼付される値札等)、店頭における表示、チラシ広告、新聞・テレビによる広告、インターネットによる広告等多様な媒体により行われているが、一般消費者に対して行われる価格表示であれば、それがどのような表示媒体により行われるものであるかを問わず、本考え方が適用されるものである。
(3) おとり広告との関係
本考え方は、事業者が商品又は役務の供給に際し一般消費者に対して行う価格表示についての考え方を示したものである。したがって、例えば、安売りのチラシに掲載された商品の販売価格について実際と異なる表示が行われる場合には、本考え方が適用されることとなる。
他方、チラシに掲載された商品についてそもそも販売される用意がなされていない場合など、広告、チラシ等において、広く一般消費者に対し取引の申出をした商品又は役務について、実際には申出どおりに購入することができないものであるにもかかわらず、一般消費者が申出どおりに購入できると誤認するおそれがある表示については、「おとり広告に関する表示」(平成5年公正取引委員会告示第17号)及び「『おとり広告に関する表示』等の運用基準」(平成5年事務局長通達第6号)において考え方が示されており、引き続き、この考え方によって判断されることとなる。
3 個別事案の判断
本考え方は、景品表示法に違反するおそれのある価格表示についての考え方を明らかにしたものであり、本考え方において「不当表示に該当するおそれのある表示」として例示されていないものを含め、事業者が行う具体的な価格表示が景品表示法に違反するか否かについては、景品表示法の規定に照らして、個別事案ごとに判断されることはいうまでもない。
第2 不当な価格表示に関する景品表示法上の考え方
1 景品表示法の内容
(1) 販売価格に関する表示については、次の表示が景品表示法上問題となる(注)。
ア 自己が供給する商品又は役務の販売価格について、実際の販売価格よりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示
イ 自己が供給する商品又は役務の販売価格について、競争事業者の販売価格よりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示
(注)景品表示法第5条
事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
1 (略)
2 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
(2) 「有利であると一般消費者に誤認される」とは、当該表示によって販売価格が実際と異なって安いという印象を一般消費者に与えることをいう。また、「著しく有利」であると誤認される表示か否かは、当該表示が、一般的に許容される誇張の程度を超えて、商品又は役務の選択に影響を与えるような内容か否かにより判断される。
(3) なお、景品表示法上問題となるか否かは、表示媒体における表示内容全体をみて、一般消費者が当該表示について著しく有利であると誤認するか否かにより判断されるものであり、その際、事業者の故意又は過失の有無は問題とされない。
2 景品表示法上問題となる価格表示
上記1を踏まえると、次のような価格表示を行う場合には、景品表示法に違反する不当表示(以下、単に「不当表示」という。)に該当するおそれがある。
(1) 実際の販売価格よりも安い価格を表示する場合
(2) 販売価格が、過去の販売価格や競争事業者の販売価格等と比較して安いとの印象
を与える表示を行っているが、例えば、次のような理由のために実際は安くない場合
ア 比較に用いた販売価格が実際と異なっているとき。
イ 商品又は役務の内容や適用条件が異なるものの販売価格を比較に用いているとき。
(3) その他、販売価格が安いとの印象を与える表示を行っているが、実際は安くない場合
第3 販売価格に関する表示について
1 基本的考え方
特定の商品の販売に際して販売価格が表示される場合には、一般消費者は、表示された販売価格で当該商品を購入できると認識するものと考えられる。
このため、販売価格に関する表示を行う場合には、(1)販売価格、(2)当該価格が適用される商品の範囲(関連する商品、役務が一体的に提供されているか否か等)、(3)当該価格が適用される顧客の条件について正確に表示する必要があり、これらの事項について実際と異なる表示を行ったり、あいまいな表示を行う場合には、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。
なお、以上の考え方は、販売価格を単体で表示する場合だけではなく、第4以下で記述する二重価格表示等における販売価格の表示についても同様に当てはまるものである。
2 不当表示に該当するおそれのある表示
販売価格に関する次のような表示は、不当表示に該当するおそれがある。
ア 実際の販売価格より安い価格を販売価格として表示すること。
(事例)
A不動産会社が、「分譲宅地 価格/1 平方メートル100,000 円~120,000 円~特選地」と表示しているが、実際には、当該宅地の価格は1平方メートル当たり約148,000 円ないし約185,000 円であるとき。
イ 通常他の関連する商品や役務と併せて一体的に販売されている商品について、これらの関連する商品や役務の対価を別途請求する場合に、その旨を明示しないで、商品の販売価格のみを表示すること。
(事例)
A内装工事業者が、「カベ1部屋5,000 円 クロス張替え」と表示しているが、実際には、5,000 円はクロスそのものの代金であり別途施工料金が請求されるとき。
ウ 表示された販売価格が適用される顧客が限定されているにもかかわらず、その条件を明示しないで、商品の販売価格のみを表示すること。
(事例)
・ A電器店が、「新バージョンソフト 特別価格5,000 円」と表示しているが、実際には、当該価格は同ソフトの旧バージョンを所有する者だけに適用される特別価格であるとき。
・ A電気通信事業者が、「国際ダイヤル通話サービス アメリカまで1分60 円」と表示しているが、実際には、当該価格は特定の割引プランに加入し、かつ、1か月当たり一定金額以上の使用実績がある利用者が、深夜・早朝時間帯に3分間通話したときに適用される1分間当たりの料金であるとき。
第4 二重価格表示について
1 二重価格表示についての基本的考え方
二重価格表示は、事業者が自己の販売価格に当該販売価格よりも高い他の価格(以下「比較対照価格」という。)を併記して表示するものであり、その内容が適正な場合には、一般消費者の適正な商品選択と事業者間の価格競争の促進に資する面がある。
しかし、次のように、二重価格表示において、販売価格の安さを強調するために用いられた比較対照価格の内容について適正な表示が行われていない場合には、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。
(1) 同一ではない商品の価格を比較対照価格に用いて表示を行う場合
ア 同一ではない商品の価格との二重価格表示が行われる場合には、販売価格と比較対照価格との価格差については、商品の品質等の違いも反映されているため、二重価格表示で示された価格差のみをもって販売価格の安さを評価することが難しく、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。
なお、同一ではない商品との二重価格表示であっても、一の事業者が実際に販売している二つの異なる商品について現在の販売価格を比較することは、通常、景品表示法上問題となるものではない。
イ 商品の同一性は、銘柄、品質、規格等からみて同一とみられるか否かにより判断される。
なお、衣料品等のように色やサイズの違いがあっても同一の価格で販売されるような商品については、同一の商品に該当すると考えられる。
また、ある一つの商品の新品と中古品、汚れ物、キズ物、旧型又は旧式の物(以下「中古品等」という。)とは、同一の商品とは考えられない。野菜、鮮魚等の生鮮食料品については、一般的には、商品の同一性を判断することが難しいと考えられる。このため、生鮮食料品を対象とする二重価格表示については、後記2の(1)ウで記述するタイムサービスのように商品の同一性が明らかな場合や、一般消費者が商品の同一性を判断することが可能な場合を除き、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。
(2) 比較対照価格に用いる価格について実際と異なる表示やあいまいな表示を行う場合
二重価格表示が行われる場合には、比較対照価格として、過去の販売価格、希望小売価格、競争事業者の販売価格等多様なものが用いられている。
これらの比較対照価格については、事実に基づいて表示する必要があり、比較対照価格に用いる価格が虚偽のものである場合には、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。
また、過去の販売価格や競争事業者の販売価格等でそれ自体は根拠のある価格を比較対照価格に用いる場合でも、当該価格がどのような内容の価格であるかを正確に表示する必要があり、比較対照価格に用いる価格についてあいまいな表示を行う場合には、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。
2 過去の販売価格等を比較対照価格とする二重価格表示について
(1) 基本的考え方
ア 過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示
(ア) 景品表示法上の考え方
a 需要喚起、在庫処分等の目的で行われる期間限定のセールにおいて、販売価格を引き下げる場合に、過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示が行われることがある。
この場合、比較対照価格に用いられる過去の販売価格の表示方法は一様ではなく、価格のみが表示されている場合、「当店通常価格」、「セール前価格」等の名称や、当、平等の記号が付されている場合、どのような価格かについて具体的な説明が付記されている場合などがある。
b 過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示が行われる場合に、比較対照価格がどのような価格であるか具体的に表示されていないときは、一般消費者は、通常、同一の商品が当該価格でセール前の相当期間販売されており、セール期間中において販売価格が当該値下げ分だけ安くなっていると認識するものと考えられる。
このため、過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示を行う場合に、同一の商品について最近相当期間にわたって販売されていた価格とはいえない価格を比較対照価格に用いるときは、当該価格がいつの時点でどの程度の期間販売されていた価格であるか等その内容を正確に表示しない限り、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。
ただし、セール実施の決定後に販売を開始した商品の二重価格表示については、商品の販売開始時点で、セールにおいていくらで販売するか既に決まっており、セール前価格は実績作りのものとみられることから、セール前価格で販売されていた期間を正確に表示したとしても、不当表示に該当するおそれがある。
他方、同一の商品について最近相当期間にわたって販売されていた価格を比較対照価格とする場合には、不当表示に該当するおそれはないと考えられる。
(イ) 「最近相当期間にわたって販売されていた価格」についての考え方
a 「相当期間」については、必ずしも連続した期間に限定されるものではなく、断続的にセールが実施される場合であれば、比較対照価格で販売されていた期間を全体としてみて評価することとなる。
b また、「販売されていた」とは、事業者が通常の販売活動において当該商品を販売していたことをいい、実際に消費者に購入された実績のあることまでは必要ではない。
他方、形式的に一定の期間にわたって販売されていたとしても、通常の販売場所とは異なる場所に陳列してあるなど販売形態が通常と異なっている場合や、単に比較対照価格とするための実績作りとして一時的に当該価格で販売していたとみられるような場合には、「販売されていた」とはみられないものである。
(ウ) 「最近相当期間にわたって販売されていた価格」か否かの判断基準
比較対照価格が「最近相当期間にわたって販売されていた価格」に当たるか否かは、当該価格で販売されていた時期及び期間、対象となっている商品の一般的価格変動の状況、当該店舗における販売形態等を考慮しつつ、個々の事案ごとに検討されることとなるが、一般的には、二重価格表示を行う最近時(最近時については、セール開始時点からさかのぼる8週間について検討されるものとするが、当該商品が販売されていた期間が8週間未満の場合には、当該期間について検討されるものとする。)において、当該価格で販売されていた期間が当該商品が販売されていた期間の過半を占めているときには、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とみてよいものと考えられる。
ただし、前記の要件を満たす場合であっても、当該価格で販売されていた期間が通算して2週間未満の場合、又は当該価格で販売された最後の日から2週間以上経過している場合においては、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とはいえないものと考えられる。
イ 将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示
販売当初の段階における需要喚起等を目的に、将来の時点における販売価格を比較対照価格とする二重価格表示が行われることがある。
このような二重価格表示については、表示された将来の販売価格が十分な根拠のあるものでないとき(実際に販売することのない価格であるときや、ごく短期間のみ当該価格で販売するにすぎないときなど)には、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。
将来の価格設定は、将来の不確定な需給状況等に応じて変動するものであることから、将来の価格として表示された価格で販売することが確かな場合(需給状況等が変化しても表示価格で販売することとしている場合など)以外において、将来の販売価格を用いた二重価格表示を行うことは、適切でないと考えられる。
ウ タイムサービスを行う場合の二重価格表示
特定の商品について一定の営業時間に限り価格の引下げを行ったり、又は生鮮食料品等について売れ残りを回避するために一定の営業時間経過後に価格の引下げを行ったりする場合に、当初の表示価格を比較対照価格とする二重価格表示が行われることがある。
このような二重価格表示については、通常は、不当表示に該当するおそれはないと考えられる。
(2) 不当表示に該当するおそれのある表示
過去の販売価格等を比較対照価格とする次のような二重価格表示は、不当表示に該当するおそれがある。
ア 過去の販売価格を比較対照価格に用いる場合
(ア) 実際に販売されていた価格よりも高い価格を、「当店通常価格」等最近相当期間にわたって販売されていた価格であるとの印象を与えるような名称を付して比較対照価格に用いること。
(事例)
・ A衣料品店が、「紳士スーツ 当店通常価格58,000 円の品 40,000 円」と表示しているが、実際には、当該商品と同一の商品について、通常45,000円で販売しているとき。
・ Aスーパーが、「*印は当店通常価格 マーガリン*498 円 258 円」と表示しているが、実際には、当該商品と同一の商品について、通常338 円で販売しているとき。
(イ) 販売実績の全くない商品又はセール直前に販売が開始された商品等、短期間
しか販売した実績のない商品の価格を、「当店通常価格」等最近相当期間にわたって販売されていた価格であるとの印象を与えるような名称を付して比較対照価格に用いること。
(事例)
・ A寝具店が、「羽毛ふとん 当店通常価格15,800 円を12,000 円」と表示しているが、実際には、当該商品は今回初めて販売されるものであるとき。
・ A衣料品店が、「比較対照価格の通は当社通常価格の略 980 円均一 紳士ポロシャツ<各種>(M・L寸) 通2,800 円の品」と表示しているが、実際には、当該商品と同一の商品について、当該比較対照価格により販売された実績がないとき。
(ウ) 過去の販売期間のうち短期間において販売されていた価格を、「当店通常価格」等最近相当期間にわたって販売されていた価格であるとの印象を与えるような名称を付して比較対照価格に用いること。
(事例)
A衣料品店が、「婦人カシミヤセーター 当店通常価格12,000 円を9,500円」と表示しているが、実際には、当該商品と同一の商品について、過去の販売期間(8週間)のうち、当該価格で販売されていた期間は当初2週間だけであり、その後の6週間はこれより低い価格で販売されていたとき。
(エ) 過去において販売されていた価格を、具体的な販売期間を明示しないで、又は実際と異なる販売期間を付記して比較対照価格に用いること。
(事例)
・ A人形店が、「5 月人形兜飾り 72,000 円の品 セール期間中43,000 円で販売」と表示しているが、実際には、当該商品と同一の商品について、72,000 円で販売した期間が2日間だけであるとき。
・ A衣料品店が、「新作ダブルスーツ ○月1日~20日までの販売価格48,000 円の品 33,800 円」と表示しているが、実際には、当該商品と同一の商品について、当該比較対照価格により販売されていたのは2日間だけであるとき。
・ Aゴルフ用品製造販売業者が、インターネット上のショッピングサイトにおいて、「ゴルフクラブ 定価380,000 円 特価138,000 円」と表示しているが、実際には、当該「定価」と称する価格は、当該商品の販売開始時における同社の直営小売店舗での販売価格であって、当該価格での販売は4年前に終了しているとき。
(オ) 販売する商品と同一ではない商品(中古品等を販売する場合において、新品など当該商品の中古品等ではない商品を含む。)の過去の販売価格を比較対照価格に用いること。
(事例)
A楽器店が、「電子オルガン 当店通常価格650,000 円を365,000 円」と表示しているが、実際には、当該商品は長期間展示品であって新品とはみなされないもので、当店通常価格は新品のものの価格であるとき。
イ 将来の販売価格を比較対照価格に用いる場合
セール期間経過後も販売価格を引き上げる予定がないにもかかわらず、又はセール期間経過後ごく短期間しか表示された価格で販売しないにもかかわらず、セール期間経過後の将来の販売価格を比較対照価格に用いること。
(事例)
A衣料品店が、「婦人ブラウス お試し価格4,800 円 ○月○日以降は6,000円になります」と表示しているが、実際には、当該商品と同一の商品について、○月○日以降も4,800 円で販売するとき。
3 希望小売価格を比較対照価格とする二重価格表示について
(1) 基本的考え方
ア 製造業者、卸売業者、輸入総代理店等、小売業者以外の者(以下「製造業者等」という。)が、自己の供給する商品について希望小売価格を設定している場合に、小売業者は、この希望小売価格を比較対照価格とする二重価格表示を行うことがある。
一般消費者は、通常、希望小売価格については、製造業者等により小売業者の価格設定の参考となるものとして設定され、あらかじめ、新聞広告、カタログ、商品本体への印字等により公表されているものであり、このことから、小売業者の販売価格が安いかどうかを判断する際の参考情報の一つとなり得るものと認識していると考えられる。
このため、希望小売価格を比較対照価格とする二重価格表示を行う場合に、製造業者等により設定され、あらかじめ公表されているとはいえない価格を、希望小売価格と称して比較対照価格に用いるときには、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。
イ なお、希望小売価格に類似するものとして、製造業者等が参考小売価格や参考上代等の名称で小売業者に対してのみ呈示している価格がある。
これらの価格が、小売業者の小売価格設定の参考となるものとして、製造業者等が設定したものをカタログやパンフレットに記載するなどして当該商品を取り扱う小売業者に広く呈示されている場合(製造業者等が商談の際に当該商品を取り扱う小売店の一部の問い合わせに対して個別に呈示するような場合は含まない。)には、小売業者が当該価格を比較対照価格に用いて二重価格表示を行うこと自体は可能であるが、希望小売価格以外の名称を用いるなど、一般消費者が誤認しないように表示する必要がある。
また、参考小売価格等を比較対照価格とする二重価格表示を行う場合に、製造業者等が当該商品を取り扱う小売業者に小売業者向けのカタログ等により広く呈示しているとはいえない価格を、小売業者が参考小売価格等と称して比較対照価格に用いるときには、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。
(2) 不当表示に該当するおそれのある表示
希望小売価格を比較対照価格とする次のような二重価格表示は、不当表示に該当するおそれがある。
ア 希望小売価格よりも高い価格を希望小売価格として比較対照価格に用いること。
(事例)
A電器店が、「全自動洗濯機 メーカー希望小売価格75,000 円の品 58,000円」と表示しているが、実際には、当該商品と同一の商品について、メーカーであるB電機が設定した希望小売価格は67,000 円であるとき。
イ 希望小売価格が設定されていない場合(希望小売価格が撤廃されている場合を含む。)に、任意の価格を希望小売価格として比較対照価格に用いること。
(事例)
・ A衣料品店が、「ビジネス・スーツ メーカー希望小売価格29,000 円の品割引価格23,800 円」と表示しているが、実際には、当該商品と同一の商品について、メーカーは希望小売価格を設定していないとき。
・ Aスーパーが、「インバーターエアコン メーカー希望小売価格200,000 円の品 138,000 円」と表示しているが、実際には、当該商品と同一の商品につ
いて、メーカーであるB電機は希望小売価格を1年前に撤廃しているとき。
ウ ①プライベートブランド商品について小売業者が自ら設定した価格、②製造業者等が専ら自ら小売販売している商品について自ら設定した価格、又は③特定の小売業者が専ら販売している商品について製造業者等が当該小売業者の意向を受けて設定した価格を、希望小売価格として比較対照価格に用いること。
(事例)
・ Aミシン店が、「電子ミシン メーカー希望小売価格30,000 円の品 18,000円」と表示しているが、実際には、当該商品は同店が海外の事業者に製造委託した自社ブランド商品であるとき。
・ A宝飾品製造販売業者が、「プラチナ台ダイヤモンドリング0.1 カラット メーカー希望小売価格100,000 円の品 3割引 70,000 円」と表示しているが、実際には、当該商品はA宝飾品製造販売業者が製造し、自ら直営店のみで販売するものであるとき。
・ A家具店が、「Bメーカー応接5点セット メーカー希望小売価格120,000円の品産直価格78,000 円」と表示しているが、実際には、当該商品はA家具店のみで販売されており、当該希望小売価格は、A家具店がBメーカーに依頼して設定させた価格であるとき。
エ 製造業者等が当該商品を取り扱う小売業者の一部に対してのみ呈示した価格を、希望小売価格として比較対照価格に用いること。
(事例)
A服飾雑貨品店が、「Bメーカー製財布 メーカー希望小売価格6,000 円の品3,800 円」と表示しているが、実際には、当該希望小売価格は、Bメーカーが商談の際にA服飾雑貨品店を含む当該商品を取り扱う小売業者の一部にのみ呈示した価格であるとき。
オ 販売する商品と同一ではない商品(中古品等を販売する場合において、新品など当該商品の中古品等ではない商品を含む。)の希望小売価格を比較対照価格に用いること。
(事例)
A電器店が、「○○社製パソコン メーカー希望小売価格270,000 円の品180,000 円」と表示しているが、実際には、当該希望小売価格は、販売する商品に比べて記憶容量が大きいなど同一ではない商品のメーカー希望小売価格であるとき。
カ ①参考小売価格等が設定されていない場合に、任意の価格を参考小売価格等として比較対照価格に用いること、及び②製造業者等が当該商品を取り扱う小売業者の一部に対してのみ呈示した価格を、参考小売価格等として比較対照価格に用いること。
(事例)
・ A眼鏡店が、「78%OFF メ-カーセット参考小売価格 33,000 円の品レンズ付き7,000 円」と表示しているが、実際には、当該商品と同一のレンズとフレーム一式の商品について、メーカーは参考小売価格を設定していないとき。
・ A眼鏡店が、「ブランドフレーム 参考小売価格¥34,000→¥5,000 85%OFF」と表示しているが、実際には、メーカーとの商談の際に、A眼鏡店を含む当該商品を取り扱う小売店の一部の問い合わせに対して、メーカーから呈示された価格を、参考小売価格として比較対照価格に用いたものであるとき。
4 競争事業者の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示について
(1) 基本的考え方
自己の販売価格の安さを強調するために、市価や特定の競争事業者の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示が行われることがある。これらの競争事業者の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示が行われる場合には、一般消費者は、通常、同一の商品について代替的に購入し得る事業者の最近時の販売価格との比較が行われていると認識するものと考えられる。
このため、競争事業者の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示を行う場合に、同一の商品について代替的に購入し得る事業者の最近時の販売価格とはいえない価格を比較対照価格に用いるときには、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。特に、市価を比較対照価格とする二重価格表示については、当該事業者が販売している地域内において競争関係にある事業者の相当数の者が実際に販売している価格を正確に調査することなく表示する場合には、不当表示に該当するおそれがある。
このように、市価や特定の競争事業者の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示を行う場合には、競争事業者の最近時の販売価格を正確に調査するとともに、特定の競争事業者の販売価格と比較する場合には、当該競争事業者の名称を明示する必要がある。
(2) 不当表示に該当するおそれのある表示
競争事業者の販売価格を比較対照価格とする次のような二重価格表示は、不当表示に該当するおそれがある。
ア 最近時の市価よりも高い価格を市価として比較対照価格に用いること。
(事例)
A人形店が、「陶製人形 市価9,000 円のものを3,500 円」と表示しているが、実際には、当該商品と同一の商品について、A人形店が販売している地域内における他の人形店では、最近時において3,000 円から4,000 円で販売されているとき。
イ 最近時の競争事業者の販売価格よりも高い価格を当該競争事業者の販売価格として比較対照価格に用いること。
(事例)
A時計店が、「○○製時計 B時計店横浜店108,000 円の品 80,000 円」と表示しているが、実際には、当該商品と同一の商品について、B時計店横浜店では最近時において70,000 円で販売されているとき。
ウ 商圏が異なり一般消費者が購入する機会のない店舗の販売価格を比較対照価格に用いること。
(事例)
Aスーパー福岡店が、「紳士用皮革ベルト Bスーパーで12,000 円の品 7,800円」と表示しているが、実際には、当該比較対照価格は事実上福岡地域の一般消費者が購入する機会のないBスーパーの長崎店の販売価格であるとき。
エ 販売する商品と同一ではない商品(中古品等を販売する場合において、新品など当該商品の中古品等ではない商品を含む。)について、競争事業者が販売している価格を比較対照価格に用いること。
(事例)
A電器店が、「衛星放送内蔵テレビ(25インチ) B電器店の販売価格185,000円の品 148,000 円」と表示しているが、実際には、当該比較対照価格は当該商品の性能を一層向上させた後継機種の販売価格であるとき。
5 他の顧客向けの販売価格を比較対照価格とする二重価格表示について
(1) 基本的考え方
同一の商品であっても、顧客の条件(顧客の購入時期を含む。以下同じ。)に応じて、販売価格に差が設けられている場合に、特定の条件を満たす顧客向けの販売価格について、その安さを強調するために、他の顧客向けの販売価格を比較対照価格とする二重価格表示が行われることがある。
顧客によって販売価格に差がある場合に、一般消費者は、それぞれの販売価格が適用される顧客の条件の内容及びその販売価格の差を比較した上で商品選択を行うこととなる。
このため、他の顧客向けの販売価格を比較対照価格とする二重価格表示を行う場合に、それぞれの販売価格が適用される顧客の条件の内容等について、実際と異なる表示を行ったり、あいまいな表示を行うときには、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。
(2) 不当表示に該当するおそれのある表示
他の顧客向けの販売価格を比較対照価格とする次のような二重価格表示は、不当表示に該当するおそれがある。
ア 会員制の販売方法において非会員価格を比較対照価格に用いる場合
容易に会員になることが可能であって、その価格での購入者がほとんど存在しないと認められる販売価格を非会員価格として比較対照価格に用いること。
(事例)
A宝飾店が、「K18 ダイヤモンドピアス 非会員価格¥50,000 会員価格¥24,980」と表示しているが、実際には、購入を希望する一般消費者は誰でも容易に会員となることができ、非会員価格で販売されることはほとんどないとき。
イ 需要のピーク時における販売価格を比較対照価格に用いる場合
需要のピーク時とオフ時で販売価格の差が大きく、かつ、ピーク時の期間が特定の時期に限定されている場合において、オフ時の販売価格を表示する際に、ピーク時の販売価格を、「当店標準価格」等当該事業者における平均的な販売価格であるとの印象を与える名称を付して比較対照価格に用いること。
(事例)
Aリゾートホテルが、「宿泊料金(ツイン1泊2日食事なし)標準料金1人当たり40,000 円のところ○月○日~○日に限り20,000 円」と表示しているが、実際には、当該比較対照価格は宿泊客が多い特定の期間において限定的に適用されている価格であるとき。
第5 割引率又は割引額の表示について
1 基本的考え方
(1) 割引率又は割引額の表示
二重価格表示と類似した表示方法として、「当店通常価格」や表示価格等からの割引率又は割引額を用いた価格表示が行われることがある。
この表示方法は、二重価格表示における比較対照価格と販売価格の差を割引率又は割引額で表示したものであり、景品表示法上の考え方については、基本的には第4で示した二重価格表示の考え方と同じである。
すなわち、算出の基礎となる価格や割引率又は割引額の内容等について実際と異なる表示を行ったり、あいまいな表示を行う場合には、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。
(2) 一括的な割引率又は割引額の表示
割引率又は割引額の表示の中には、小売業者の取り扱う全商品又は特定の商品群を対象として一括して割引率又は割引額を表示する場合がある。
このような一括的な割引率又は割引額の表示については、小売業者にとって個別品目ごとの値引き表示を行う場合の煩雑さを回避したり、一般消費者に対する訴求力を高めたりする利点があるが、その訴求力が強いことから、一括して割引率又は割引額の表示を行う場合には、算出の基礎となる価格、適用される商品の範囲及び適用されるための条件について明示することにより、一般消費者が誤認しないようにする必要がある。
なお、小売業者の取り扱う全商品又は特定の商品群を対象とし、当該商品に付けられた表示価格を算出の基礎とする一括的な割引率又は割引額の表示については、次の2のア及びイに例示するような場合を除き、通常は、不当表示に該当するおそれはないと考えられる。
2 不当表示に該当するおそれのある表示
割引率又は割引額を用いた次のような価格表示は、不当表示に該当するおそれがある。
なお、その他の割引率又は割引額の表示については、基本的には第4の考え方が適用される。
ア 適用対象となる商品が一部のものに限定されているにもかかわらず、その旨を明示しないで、小売業者の取り扱う全商品又は特定の商品群を対象とした一括的な割引率又は割引額を強調した表示を行うこと。
(事例)
A家具店が、適用される商品の範囲を明示しないで、「家具5割引セール」と強調して表示しているが、実際には、一部の商品のみが5割引の対象となっているにすぎないとき。
イ 表示価格からの割引率若しくは割引額又はポイント還元率(以下「割引率等」という。)を用いた表示を行う場合に、(1)表示価格をいったん引き上げた上で割引率等を用いた表示を行うこと、又は(2)セール実施の決定後に販売が開始された商品を対象として割引率等を用いた表示を行うこと。
(事例)
・ A衣料品店が、「春物スーツ 表示価格から3割引」と表示しているが、実際には、適用対象となる商品の表示価格がセール直前に引き上げられているとき。
・ Aスーパーが、「ワイン全品 土曜日、日曜日2日間に限り店頭価格から3割引」と表示しているが、実際には、適用対象となる商品のうち、一部の商品がセール実施の決定後に販売が開始された商品であるとき。
・ A電器店が、「エアコン全品 ポイント還元5%アップ」と表示しているが、実際には、適用対象となる商品の表示価格がセール直前に引き上げられているとき。
ウ 最大割引率又は最大還元率が適用されるのは一部のものに限定されているにもかかわらず、取り扱う全商品又は特定の商品群について、個々の商品ごとに割引率等を表示せずに、一定の幅の割引率等で、かつ、最大割引率又は最大還元率を強調した表示を行うことにより、あたかも多くの商品について最大割引率又は最大還元率が適用されるかのような表示を行うこと。
(事例)
・ A電器店が、個々の商品ごとに割引率を表示せずに「☆マークがついている商品は、5~20%値引きします」と表示し、かつ、「5%」を著しく小さく記載し、「20%」を大きく強調して表示することにより、あたかも多くの商品について「20%」の割引が適用されるかのように表示しているが、実際には、20パーセントの割引の対象となるのは一部の商品に限定されているとき。
・ A電器店が、個々の商品ごとにポイント還元率を表示せずに「全商品 10%、15%、20%ポイント還元」と還元率が大きくなるにつれて文字を大きく表示し、かつ、「20%」を強調して表示することにより、あたかも多くの商品について「20%」のポイント還元が適用されるかのように表示しているが、実際には、20パーセントのポイント還元の対象となるのは一部の商品に限定されているとき。
エ 任意に設定した価格を算出の基礎として、割引率又は割引額の表示を行うこと。
(事例)
Aゴルフ用品製造販売業者が、「チタンクラブ 80,000 円の品 3割引 56,000円」と表示しているが、実際には、算出の基礎となる価格が任意に設定された価格であるとき。
第6 販売価格の安さを強調するその他の表示について
1 基本的考え方
小売業者の取り扱う全商品又は特定の商品群を対象に、これらの商品の販売価格の安さを強調するために、販売価格の安さの理由や安さの程度を説明する用語(例えば、安さの理由を説明する「倒産品処分」、「工場渡し価格」等の用語、安さの程度を説明する「大幅値下げ」、「他店より安い」等の用語)を用いた表示が行われることがある。
販売価格が安いという印象を与えるすべての表示が景品表示法上問題となるものではないが、これらの表示については、販売価格が通常時等の価格と比較してほとんど差がなかったり、適用対象となる商品が一部に限定されているにもかかわらず、表示された商品の全体について大幅に値引きされているような表示を行うなど、実際と異なって安さを強調するものである場合には、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。
また、競争事業者の店舗の販売価格よりも自店の販売価格を安くする等の広告表示において、適用対象となる商品について、一般消費者が容易に判断できないような限定条件を設けたり、価格を安くする旨の表示と比較して著しく小さな文字で限定条件を表示するなど、限定条件を明示せず、価格の有利性を殊更強調する表示を行うことは、一般消費者に自己の販売価格が競争事業者のものよりも著しく有利であるとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。
このため、安さの理由や安さの程度を説明する用語等を用いて、販売価格の安さを強調する表示を行う場合には、適用対象となる商品の範囲及び条件を明示するとともに、安さの理由や安さの程度について具体的に明示することにより、一般消費者が誤認しないようにする必要がある。
2 不当表示に該当するおそれのある表示
販売価格の安さを強調する次のような価格表示は、不当表示に該当するおそれがある。
ア 通常時等の価格と比較して特に安くなっている商品がなかったり、一部に限定されているにもかかわらず、安さの理由を説明する用語を用いて、表示された商品の全体について販売価格が特に安くなっていることを強調する表示を行うこと。
(事例)
・ A寝具店が、「製造業者倒産品処分」と強調して表示しているが、実際には、表示された商品は製造業者が倒産したことによる処分品ではなく、当該小売店が継続的に取引のある製造業者から仕入れたものであり、表示された商品の販売価格は従来と変わっていないとき。
・ A人形店が、「ひな人形商品全品工場渡し価格により御奉仕」と強調して表示しているが、実際には、工場渡し価格により販売される商品は表示された商品のうち一部の商品に限定されているとき。
イ 通常時等の価格と比較して特に安くなっている商品がなかったり、一部に限定されているにもかかわらず、安さの程度を説明する用語を用いて、表示された商品の全体について販売価格が特に安くなっていることを強調する表示を行うこと。
(事例)
・ Aスポーツ用品店が、「他店よりも販売価格を安くします」と強調して表示しているが、実際には、表示された商品について、他店よりも安い価格で販売を行わないとき。
・ A衣料品店が、「冬物衣料全品大幅値下げ断行!」と強調して表示しているが、実際には、「当店通常価格」よりも特に安くなっている商品は表示された商品のうちの一部の商品に限定されているとき。
・ A電器店が、「他店チラシ掲載売価より更に10%以上安くします」と強調して表示しているが、実際には、他店のチラシ価格と価格比較できる商品は表示された商品のうちの一部の商品に限定されているとき、又は他店のチラシ価格よりも価格が安く設定されていない商品があるとき。