第1 本指針の趣旨
1 はじめに
食品として販売に供される物について、健康の保持増進の効果等が必ずしも実証されていないにもかかわらず、当該効果を期待させる虚偽又は誇大と思われる広告が、インターネットの普及等と相まって様々な媒体に数多く掲載され、販売の促進に用いられている。また、これらの食品については、期待される健康の保持増進の効果等を享受するため、当該食品の長期的かつ継続的な摂取が推奨される傾向が一般に認められる。こうした状況の下、健康の保持増進の効果等について、著しく事実に相違又は著しく人を誤認させる広告を信じた国民が適切な診療機会を逸してしまうおそれ等もあり、国民の健康の保護の観点から重大な支障が生じるおそれもある。
これら虚偽誇大広告等については、健康増進法(平成14年法律第103号)第65条第1項の規定により禁止されているところ、本指針は、食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に係る基本的考え方を示すものである。
なお、本指針は、健康増進法第65条第1項の規定により禁止される表示のあらゆる場面を網羅しているわけではなく、同項が禁止する表示の該当性については、本指針において例示されていないものも含め、個別事案ごとに判断されることに留意する必要がある。
2 食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をする者の責務
本指針の趣旨から、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をする者は、その責務として、摂取する者が当該食品を適切に理解し、適正に利用することができるよう、健康の保持増進の効果等について、客観的で正確な情報の伝達に努めなければならないものである。
3 他法令との関係
食品の表示・広告を対象とする規定をもつ法律として、健康増進法のほかに、食品衛生法(昭和22年法律第233号)、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「医薬品医療機器等法」という。)、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号。以下「景品表示法」という。)、特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号。以下「特商法」という。)、食品表示法(平成25年法律第70号)等が
ある。健康増進法第65条第1項の規定に違反し、又は違反が疑われる広告等は、これら広告等を規制する他法令の規定に違反し、又は違反している可能性が十分にあり得る。
このため、食品の虚偽誇大広告等に関しては、上記関係法令の内容を十分に理解した上で、当該関係法令を所管する行政機関(以下「法主管課室」という。)と有機的な連携体制を確保し、効果的な監視指導のあり方を検討すること等により、密接に連携・協力し、監視の実効を挙げるように努められたい(第4参照)。
第2 健康増進法第65条第1項の規定により禁止される広告その他の表示
1 同項の適用を受ける対象者
健康増進法第65条第1項には「何人も」と規定されている。このため、同項が対象とする者は、食品等の製造業者、販売業者等に何ら限定されるものではなく、「食品として販売に供する物に関する広告その他の表示をする」者であれば、例えば、新聞社、雑誌社、放送事業者、インターネット媒体社等の広告媒体事業者等も対象となり得ることに注意する必要がある。
もっとも、虚偽誇大広告について第一義的に規制の対象となるのは健康食品の製造業者、販売業者であるから、直ちに、広告媒体事業者等に対して健康増進法を適用することはない。しかしながら、当該表示の内容が虚偽誇大なものであることを予見し、又は容易に予見し得た場合等特別な事情がある場合には、同法の適用があり得る。
2 同項の対象となる広告その他の表示
同項の規定は、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項について、著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示を禁止しているが、個々の広告その他の表示が同項の対象となるか否かの判断に当たって考慮すべき要素は次のとおりである。
(1)「食品として販売に供する物」の範囲
同項は、「食品として販売に供する物」(以下「食品等」という。)を適用対象として規定している。このため、例えば、専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)を含むことや医薬品的な効能効果等に該当するものを標ぼうして
いること等により無承認無許可医薬品として医薬品医療機器等法の適用を受けるものであっても、食品であることを明示して販売されていたり、医薬品であることを表示せずに飲食物として販売に供されている等のもの(以下「食品として販売される無承認無許可医薬品」という。)については、併せて同項の適用を受ける。すなわち、食品として販売される無承認無許可医薬品に対しては医薬品医療機器等法の主管課室に加え、健康増進法の主管課室及び食品衛生法の主管課室がそれぞれ監視指導を行い得ることとなる点に留意する必要がある。
(2)「広告その他の表示」の定義
同項で規定する「広告その他の表示」とは、顧客を誘引するための手段として行う広告その他の表示である。このため、個々の表示が「広告その他の表示」に該当するかどうかは、チラシやCM といった形態のみならず、その内容や表示方法にも着目する必要がある。
(3)「健康保持増進効果等」の定義
① 健康の保持増進の効果
同項は、「健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項」について、虚偽誇大広告等の禁止を規定しているが、このうち、「健康の保持増進の効果」とは、健康状態の改善又は健康状態の維持の効果であり、具体的な例示としては、次に掲げるものが該当する。
ア 疾病の治療又は予防を目的とする効果
イ 身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効果
ウ 特定の保健の用途に適する旨の効果
エ 栄養成分の効果
なお、このうち、ア及びイは、医薬品的な効能効果に相当するものである。また、ウの「特定の保健の用途」とは、健康の維持、増進に役立つ、又は適する旨を表現するもので、例えば次に掲げるものが該当する。
(ⅰ) 容易に測定可能な体調の指標の維持に適する又は改善に役立つ旨
(ⅱ) 身体の生理機能、組織機能の良好な維持に適する又は改善に役立つ旨
(ⅲ) 身体の状態を本人が自覚でき、一時的であって継続的、慢性的でない体調の変化の改善に役立つ旨
② 内閣府令で定める事項
「内閣府令で定める事項」とは、健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令(平成21年内閣府令第57号)第19条において、次に掲げるものを定めることとしている。
なお、これらについては、健康の保持増進の効果とともに、国民の健康の
増進を図るための措置を講じ、国民保健の向上を図ることに関係する場合において規制対象となる。
ア 含有する食品又は成分の量
イ 特定の食品又は成分を含有する旨
ウ 熱量
エ 人の身体を美化し、魅力を増し、容ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つことに資する効果
③ 暗示的又は間接的に健康保持増進効果等を表示する場合
健康保持増進効果等の表示については、①及び②に掲げる効果を明示的又は直接的に表示しているものだけではなく、広告等全体でみた場合に、間接的に健康保持増進効果等を表示していると一般消費者が認識し得るものも含まれる。このため、例えば、次のような広告等も健康保持増進効果等の表示に該当する。
ア 名称又はキャッチフレーズにより表示するもの
イ 含有成分の表示及び説明により表示するもの
ウ 起源、由来等の説明により表示するもの
エ 新聞、雑誌等の記事、医師、学者等の談話、学説、体験談などを引用又は掲載することにより表示するもの
オ 医療・薬事・栄養等、国民の健康の増進に関連する事務を所掌する行政機関(外国政府機関を含む。)や研究機関等により、効果等に関して認められている旨を表示するもの
3 禁止の対象となる「著しく事実に相違する表示」及び「著しく人を誤認させるような表示」
健康増進法第65条第1項では、上記2に該当する広告その他の表示であって、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならないこととされている。このため、広告その他の表示に記載されている健康保持増進効果等が当該食品等により実際に得られる健康保持増進効果等と著しく相違している場合又は当該食品により実際に得られる健康保持増進効果等と著しく異なるものに誤認されることとなる表示を行えば、同項違反となる。
なお、著しく事実に相違する表示、著しく人を誤認させる表示であるか否かの判断に当たっては、表示内容全体から一般消費者が受ける印象・認識が基準となる。
(1)「著しく」
具体的に何が「著しく」に該当するかの判断は、個々の広告その他の表示に即してなされるべきであるが、ここにいう「著しく」とは、誇張・誇大の程度が社会一般に許容されている程度を超えていることを指しているものであり、誇張・誇大が社会一般に許容される程度を超えるものであるかどうかは、当該広告その他の表示を誤認して顧客が誘引されるかどうかで判断され、その誤認がなければ顧客が誘引されることは通常ないであろうと認められる程度に達する広告その他の表示が該当する。
(2)「事実に相違する」
「事実に相違する」とは、広告その他の表示に表示されている健康保持増進効果等と実際の健康保持増進効果等が異なることを指す。このため、例えば、十分な実験結果等の根拠が存在しないにもかかわらず、「3か月間で○キログラムやせることが実証されています。」と表示する場合や、体験談をねつ造等し、又はねつ造された資料を表示した場合等は、この状態に該当することとなる。
(3)「人を誤認させる」
「人を誤認させる」とは、食品等の広告その他の表示から認識することとなる健康保持増進効果等の「印象」や「期待感」と健康の保持増進の実際の効果等に相違があることを指す。なお、「誤認」とは、実際のものと一般消費者が当該広告その他の表示から受ける印象との間に差が生じることを言うのであるから、社会常識や用語等などの一般的な意味などを基準に判断して、こうした差が生じる可能性が高いと認められる場合には、当該広告その他の表示は「誤認させる」ものに該当するというべきであり、現実に一般消費者が誤認したという結果まで必要としない。このため、例えば、
・ 特定の成分について、健康保持増進効果等が得られるだけの分量を含んでいないにもかかわらず、生活習慣を改善するための運動等をしなくても、摂り過ぎた栄養成分若しくは熱量又は体脂肪若しくは老廃物質等を排出し、又は燃焼させることをイメージさせる
・ 健康保持増進効果等に関し、メリットとなる情報を断定的に表示しているにもかかわらず、デメリットとなる情報(例 効果が現れない者が実際にいること、一定の条件下でなければ効果が得られにくいこと 等)が表示されておらず、又は著しく消費者が認識し難い方法で表示されている
・ 健康の保持増進の効果等について公的な認証があると表示しておきながら、実際には、当該効果等に係る認証を受けていない
・ 根拠となる学術データのうち、当該食品にとって不都合な箇所を捨象し、有利な箇所のみを引用する場合などは、一般的にこれに該当するものと考えられる。
第3 健康増進法第66条の規定による勧告等の手続
1 消費者庁及び都道府県知事による勧告(第1項)
健康増進法第66条では、健康増進法第65条第1項の規定に違反する広告その他の表示に対する措置が規定されている。
まず、健康増進法第66条第1項では、消費者庁長官及び都道府県知事(健康増進法第10条第3項において、保健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又は区長とされている。以下「都道府県知事等」という。)は、前条第1項の規定に違反して表示をした者がある場合において、国民の健康の保持増進に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、その者に対し、当該表示に関し必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができる旨を規定している。
ここでいう、「国民の健康の保持増進に重大な影響を与えるおそれがあると認めるとき」とは、個々の状況に応じ判断する必要があるが、例えば、重篤な疾患を抱える患者が当該広告その他の表示を根拠に当該商品を購入することにより適切な診療機会を逸して当該患者の健康の保持増進が図れなくなるおそれがある場合や、国民生活センターや消費生活センター等の関係機関にその健康保持増進効果等について数多くの苦情等が寄せられているなど「国民保健の向上を図る」という健康増進法の目的に照らして看過できない悪影響が及ぼされるおそれがある場合が該当することとなる。
なお、健康増進法第66条第1項の規定に基づく勧告の内容は、個々の事例により異なってくることとなるが、広告その他の表示の掲載の差止め等の勧告を受けた者が実施しなければならない措置とともに、当該措置の実施に関する合理的な範囲内での期限及び当該措置を実施したことの消費者庁長官及び都道府県知事等に対する報告等が併せて勧告される場合もある。
2 消費者庁長官及び都道府県知事による命令(第2項)
健康増進法第66条第2項では、消費者庁長官及び都道府県知事等は、前項に規定する勧告を受けた者が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、その者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる旨を規定している。
この場合も、当該措置を実施すべきことを命ずるとともに、当該措置の実施に関する合理的な範囲内での期限及び当該措置を実施したことを消費者庁長官又は都道府県知事等へ報告等を併せて命令する場合もある。
なお、当該命令に違反した場合は、健康増進法第71条の規定により、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されることとなる。
3 立入検査・収去等(第3項)
健康増進法第66条第3項では、食品として販売に供する物であって健康保持増進効果等についての表示がされたもの(特別用途食品、健康増進法第63条第1項の承認を受けた食品及び販売に供する食品であって栄養表示がされたものを除く。)において健康増進法第61条の規定を準用する旨が規定されている。
したがって、食品衛生監視員は必要があると認めるときは、食品として販売に供する物であって健康保持増進効果等についての広告その他の表示がされたもの
(食品として販売される無承認無許可医薬品を含む。)について、その製造施設、貯蔵施設又は販売施設に立ち入り、検査し、試験の用に供するのに必要な限度において収去することができる。
また、健康増進法第66条第3項において準用する同法第61条第1項に規定する消費者庁長官の権限は、食品として販売に供する物の製造施設、貯蔵施設又は販売施設の所在地を管轄する地方厚生局長に委任されている。ただし、消費者庁長官が自ら当該権限を行使することを妨げていない。
第4 健康増進法第65条第1項の規定により禁止する虚偽誇大広告等に係る監視体制整備
1 健康増進法第65条第1項に係る効果的な監視指導体制等
健康増進法第65条第1項に違反する広告その他の表示又は違反が疑われる広告その他の表示について、効果的な監視指導を行うに当たっては、特に栄養学、薬学等の知見が求められることが予想されることから、健康増進法の主管課室のうち、これらの知見を有する者が監視指導に当たるなど、積極的な役割を果たすことが期待される。
また、食品衛生監視員は、食品衛生法に基づく食品衛生監視の際に同条に違反する広告その他の表示を発見する機会が多いものと考えられる。こうした点を踏まえ、健康増進法の主管課室においては、食品衛生監視員に対し同条の規定及び本指針を周知徹底し、食品衛生監視員が営業者等に対し適切な指導又は情報提供ができるよう環境作りに努めるとともに、食品衛生監視員との密接な情報共有を図られたい。さらに、第3の3に示しているとおり、健康増進法第66条第3項で規定する食品として販売に供する物であって健康保持増進効果等に関する表示が行われたものに係る立入検査及び収去の事務は、食品衛生監視員の事務とされている。このため、健康増進法の主管課室と食品衛生法の主管課室とが連携をとり、食品衛生監視員が立入検査及び収去を実施するに当たっては、円滑な権限行使ができるようその実施方針を示す等により効果的な運用に努められたい。
また、こうした監視を通じて違法性が疑われる広告その他表示については、技術的知識の集約を図るとともに、地域の実情に即した監視指導体制の強化を図る観点から、2の(2)に示すところにより地方厚生局へ報告されたい。
2 食品として販売に供する物の虚偽誇大広告等に対する総合的な対策の推進
(1)健康増進法、食品衛生法、医薬品医療機器等法、景品表示法及び食品表示法の主管課室間の密接な連携健康増進法第65条第1項の規制は、関連他法令における広告等規制と重畳的に適用され得るものである。特に、食品として販売に供する物の一部には、専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)を含むことや医薬品的な効能効果等に該当するものを標ぼうしていること等により、無承認無許可医薬品として医薬品医療機器等法の適用を受ける現状が認められる。こうした状況に即応するためには、関連する健康増進法、食品衛生法、医療機器等法、景品表示法及び食品表示法の主管課室が緊密な連携を確保することが必要である。
特に、保健所は地域保健法(昭和22年法律第101号)第6条の規定により「栄養の改善及び食品衛生に関する事項」及び「薬事に関する事項」につき、企画、調整、指導及びこれらに必要な事業を行うこととされており、地域保健対策を取り巻く環境の変化等に即応し、高度化する保健、衛生等に関する需要に的確に対応することができるよう、施策を総合的に推進する任務を有している。
都道府県、保健所設置市及び特別区の衛生主管部局長及び各保健所長並びに「栄養の改善及び食品衛生に関する事項」及び「薬事に関する事項」を担う他の行政機関の長においては、食品として販売に供する食品の広告等の適正化のため、個々の広告等に照らして違反が認められ、又は違反が疑われる法令を着実に運用し、健康増進法の主管課室のみならず食品衛生法の主管課室及び医薬品医療機器等法の主管課室の有機的な活用を図るなど、一元的な監視指導がなされるよう指揮監督されたい。
(2)都道府県等及び消費者庁並びに地方厚生局間の密接な連携
都道府県、保健所設置市及び特別区が発見等した健康増進法第65条第1項の規定に違反し、又は違反が疑われる広告その他の表示に対する勧告等の施行事務については、これまで消費者庁表示対策課食品表示対策室及び地方厚生局で一元的に行ってきたところ、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(平成26年法律第51号)の施行により、平成28年4月1日以降は、都道府県並びに保健所設置市及び特別区においても勧告等の施行事務を行うこととなった。
各都道府県等において健康増進法第65条第1項の規定に違反し、又は違反が疑われる広告その他の表示を発見した場合は、当該都道府県等の区域を管轄する地方厚生局(以下「域内厚生局」という。)と密接な連携を図られたい。域内厚生局は、健康増進法第65条第1項の規定に違反して表示をした者の本店又は主たる事務所の所在地を管轄する地方厚生局と情報交換等を行い、表示の適正化に向けた所要の取組みを相互に行うものとする。
(3)健康増進法及び景品表示法等の有機的活用
景品表示法は、「商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる」表示をしてはならないと定めている(景品表示法第5条第1号)。すなわち、健康増進法第65条第1項違反となる表示をした食品は、それが取引に供され、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる場合、同時に景品表示法に違反する可能性が非常に強いものであり、健康増進法及び景品表示法が有機的に活用されることが重要である。
したがって、都道府県、保健所設置市及び特別区の衛生主管部局長及び各保健所長並びに「栄養の改善及び食品衛生に関する事項」及び「薬事に関する事項」を担う他の行政機関の長におかれても、健康増進法及び景品表示法に違反が疑われる広告その他の表示を発見した場合には、消費者庁及び都道府県における景品表示法の主管課室への必要な情報提供方よろしくお願いしたい。
また、通信販売業者等が食品として販売に供する物について行う広告その他の表示については、特商法の規定も重畳的に適用され得るので、当該法令を所管する行政機関との連携方についてもよろしくお願いしたい。