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金融商品取引法の表現ルール徹底ガイド:広告・アフィリエイトでの注意点

金融商品取引法の表現ルール徹底ガイド:広告・アフィリエイトでの注意点

金融商品取引法とは?広告規制の基礎知識

金商法の目的と対象範囲

金融商品取引法(以下、金商法)は、 投資家保護と金融市場の健全な発展を目的とした法律です。
この法律は、単に金融機関だけを規制するものではなく、 金融商品の広告や勧誘を行うすべての主体に適用されます。
具体的には、有価証券、投資信託、デリバティブ取引など、 幅広い金融商品が規制の対象となっており、 これらの商品を扱う業者だけでなく、 アフィリエイターや広告代理店も注意が必要です。
金商法は、情報開示の充実、不公正取引の防止、 そして広告規制を通じて、投資家が安心して 金融商品を選択できる環境を整備しようとしています。
特に広告規制は、誤解を招く表現や誇大広告を排除し、 投資判断に必要な情報を適切に提供することを目的としています。
したがって、金融商品の広告に関わるすべての関係者は、 金商法の目的と規制内容を正確に理解し、遵守することが求められます。
違反した場合には、刑事罰や行政処分の対象となる可能性もあるため、 十分な注意が必要です。

広告における基本ルール

広告を作成する上での基本ルールは、 事実に基づいた情報を提供し、 投資家に誤解を与える可能性のある表現を避けることです。
具体的には、過去の運用実績を誇張したり、 将来の利益を保証するような断定的な表現は禁止されています。
また、リスクに関する情報を隠蔽したり、 小さく表示することも問題となります。
広告は、客観的なデータや根拠に基づいて作成し、 リスクとリターンのバランスを適切に示す必要があります。
さらに、広告の表現だけでなく、 使用するフォントの大きさや色、 情報の配置など、視覚的な要素も規制の対象となることがあります。
例えば、リスクに関する記述を他の情報よりも 目立たなくすることは、投資家を誤解させる行為とみなされる可能性があります。
したがって、広告を作成する際には、 専門家の意見を聞きながら、 金商法の規制に適合しているかどうかを慎重に確認することが重要です。
常に投資家保護の視点を持ち、 誠実な情報提供を心がけることが求められます。

金融商品取引業者登録の必要性

金融商品の販売や勧誘を「業として」行う場合、 原則として金融商品取引業者としての登録が不可欠です。
「業として」とは、反復継続して行う意思をもって、 社会通念上事業と認められる程度のものを指します。
したがって、たとえ営利目的でなくても、 継続的に金融商品の勧誘を行う場合は、 登録が必要となる可能性があります。
無登録で金融商品取引業を行うことは、 金商法に違反する行為であり、 刑事罰や行政処分の対象となります。
登録を受けるためには、一定の資本金や人的構成、 内部管理体制などの要件を満たす必要があります。
登録を受けた金融商品取引業者は、 顧客に対する説明義務や適合性原則、 広告規制など、さまざまな規制を遵守する必要があります。
これらの規制は、投資家保護を目的としており、 金融商品取引業者の業務運営の健全性を確保するために設けられています。
登録が必要かどうか判断に迷う場合は、 金融庁や弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。
安易な判断で無登録営業を行うと、 重大な法的責任を問われる可能性があるため、注意が必要です。

広告表現で注意すべきポイント

リスクに関する明示義務

金融商品広告において、リスクの明示は最も重要な要素の一つです。
投資家は、金融商品を購入する際に、 その商品が持つリスクを十分に理解した上で 判断する必要があります。
したがって、広告では、 リスクの内容や程度を明確かつ具体的に記載しなければなりません。
「元本割れのリスクがあります」といった一般的な注意喚起だけでなく、 どのような場合に元本割れが発生するのか、 その可能性はどの程度なのかなど、 より詳細な情報を提供することが望ましいです。
また、リスクの種類も多岐にわたるため、 金利変動リスク、為替変動リスク、信用リスクなど、 商品ごとに異なるリスクを網羅的に説明する必要があります。
リスクに関する記述は、 広告の目立つ場所に、 分かりやすい言葉で記載することが重要です。
小さな文字で記載したり、 専門用語を多用することは、 投資家を誤解させる行為とみなされる可能性があります。
金融商品の特性に応じて、 リスクを定量的に示すことも有効です。
例えば、過去の価格変動幅や、 格付け機関による評価などを参考に、 リスクの程度を具体的に示すことができます。

断定的判断の禁止

金融商品広告において、 「必ず儲かる」「絶対に損しない」といった 断定的な表現は厳に禁止されています。
これらの表現は、投資家に過度な期待を抱かせ、 リスクを軽視させる可能性があるためです。
金融商品は、市場の変動や経済状況によって 価値が変動するものであり、 将来の利益を保証することはできません。
したがって、広告では、 客観的なデータに基づいた情報提供を心がけ、 将来の見通しについても、 あくまで予測であることを明示する必要があります。
過去の運用実績を示す場合でも、 「過去の実績は将来の成果を保証するものではありません」 といった注意書きを付記することが重要です。
また、「今がチャンス」「期間限定」といった 言葉を過度に使用することも、 投資家の冷静な判断を妨げる可能性があるため、 避けるべきです。
広告は、投資家が冷静かつ合理的な判断を下せるように、 正確で中立的な情報を提供するものでなければなりません。
断定的な表現を使用する代わりに、 商品の特性やリスク、リターンに関する情報を 具体的に示すことが求められます。

比較広告の注意点

他の金融商品やサービスと比較する広告(比較広告)は、 投資家に商品の特徴を理解してもらう上で有効な手段ですが、 金商法上の注意点も多く存在します。
比較広告を行う際は、 客観的なデータに基づき、公平な比較を行う必要があります。
自社の商品だけを有利に見せるような表現や、 都合の悪い情報を隠蔽することは禁止されています。
比較対象とする商品やサービスは、 類似の商品群から適切に選択し、 比較項目も客観的な基準に基づいて選定する必要があります。
例えば、手数料、運用実績、リスクなど、 投資家が重視する項目を網羅的に比較することが望ましいです。
また、比較に使用するデータは、 信頼できる情報源から入手し、 出典を明記する必要があります。
比較広告では、 自社の商品だけでなく、 比較対象となる商品のリスクについても 同様に説明する必要があります。
比較の結果、自社の商品が優れている点を強調するだけでなく、 劣っている点についても正直に開示することが重要です。
比較広告は、 誤解を招きやすい表現が多いため、 広告を作成する際には、 弁護士や専門家への相談を検討することをお勧めします。

アフィリエイト広告における金商法

アフィリエイターの責任範囲

アフィリエイト広告は、 成果報酬型広告の一種であり、 アフィリエイターは、自身のウェブサイトやブログなどで 金融商品の広告を掲載し、 その広告を通じて商品が購入された場合に報酬を得ます。
アフィリエイターも、 広告内容について一定の責任を負います。
金融商品に関する知識を十分に理解し、 正確な情報を提供するように努めましょう。
アフィリエイターは、 広告主から提供された広告素材をそのまま使用するだけでなく、 自身で情報を収集し、 その内容を検証する必要があります。
特に、リスクに関する記述や注意喚起は、 必ず確認し、不足している場合は、 広告主に修正を依頼するか、 自身で情報を追加する必要があります。
また、アフィリエイターは、 自身のウェブサイトやブログに掲載する情報についても責任を負います。
金融商品に関する記事やレビューを掲載する場合は、 客観的なデータに基づき、 公平な視点で記述する必要があります。
アフィリエイターが金商法に違反した場合、 広告主だけでなく、アフィリエイター自身も 法的責任を問われる可能性があります。
したがって、アフィリエイト広告を行う際には、 金商法の規制を十分に理解し、遵守することが重要です。

ASPの利用

ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)は、 広告主とアフィリエイターを仲介する事業者です。
アクセストレードのようなASPでは、 金融商品に関する広告プログラムを提供していますが、 ASPの規約を遵守し、 金商法に違反しないように注意する必要があります。
ASPは、広告主から提供された広告素材を アフィリエイターに提供するだけでなく、 広告の掲載状況を監視し、 金商法に違反する広告がないかどうかをチェックする役割も担っています。
しかし、ASPによるチェックは、 あくまで形式的なものであり、 すべての広告が金商法に適合していることを保証するものではありません。
したがって、アフィリエイターは、 ASPが提供する広告素材を使用する場合でも、 自身でその内容を確認し、 金商法に違反する可能性がないかどうかを判断する必要があります。
ASPの規約には、 金商法に関する規定が含まれている場合があるため、 事前に確認しておくことが重要です。
また、ASPによっては、 金融商品に関する広告掲載を禁止している場合や、 特定の金融商品に限定している場合があるため、 注意が必要です。
アフィリエイターは、 ASPの規約を遵守するとともに、 金商法の規制を十分に理解し、 適切な広告掲載を行う必要があります。

提携解除のリスク

金商法に違反する広告掲載を行った場合、 ASPとの提携が解除される可能性があります。
ASPは、 広告掲載基準を設けており、 金商法に違反する広告や、 虚偽・誇大な広告、 投資家を誤解させる可能性のある広告などを禁止しています。
アフィリエイターがこれらの広告掲載基準に違反した場合、 ASPは、当該アフィリエイターとの提携を解除することができます。
提携が解除されると、 それまでに得た報酬が支払われなくなるだけでなく、 他のASPでの広告掲載も難しくなる可能性があります。
また、ASPによっては、 違反行為の内容を公表する場合があります。
アフィリエイターは、 広告掲載前には、 必ず内容を確認し、 違反がないかチェックしましょう。
広告主から提供された広告素材を使用する場合でも、 自身でその内容を確認し、 金商法に違反する可能性がないかどうかを判断する必要があります。
また、自身のウェブサイトやブログに掲載する情報についても、 責任を持って管理し、 金商法に違反する情報がないように注意する必要があります。
アフィリエイターは、 ASPとの良好な関係を維持するために、 広告掲載基準を遵守し、 適切な広告掲載を行う必要があります。

違反した場合の罰則と対応

刑事罰と行政処分

金商法に違反した場合、 刑事罰(懲役や罰金)や 行政処分(業務改善命令、業務停止命令など)が科せられる可能性があります。
違反の程度によっては、 両方が科せられることもあります。
刑事罰は、 悪質な違反行為に対して科せられるものであり、 懲役刑や罰金刑が科せられます。
例えば、 インサイダー取引や相場操縦などの不公正取引を行った場合や、 無登録で金融商品取引業を行った場合などが該当します。
行政処分は、 業務の改善を促すためのものであり、 業務改善命令や業務停止命令などが科せられます。
例えば、 顧客に対する説明義務を怠った場合や、 広告規制に違反した場合などが該当します。
業務改善命令は、 一定期間内に業務の改善計画を策定し、 金融庁に報告することを求めるものです。
業務停止命令は、 一定期間、業務の一部または全部を停止することを命じるものです。
違反行為の内容によっては、 登録取消処分が科せられることもあります。
登録取消処分は、 金融商品取引業者としての登録を取り消すものであり、 業務を継続することができなくなります。
金商法違反は、 企業の信用を大きく損なうだけでなく、 事業継続にも深刻な影響を与える可能性があります。

課徴金納付命令

不公正取引(インサイダー取引や 相場操縦など)を行った場合、 課徴金納付命令が下されることがあります。
課徴金は、 違反行為によって得た利益を 没収するためのものであり、 刑事罰とは異なり、 行政上の措置として科せられます。
課徴金の額は、 違反行為によって得た利益に応じて決定されます。
インサイダー取引の場合、 得た利益だけでなく、 回避した損失額も課徴金の算定対象となります。
課徴金納付命令は、 金融庁が調査を行い、 違反行為があったと認定した場合に下されます。
課徴金納付命令を受けた場合、 指定された期日までに課徴金を納付する必要があります。
課徴金を納付しない場合、 延滞金が発生するだけでなく、 財産が差し押さえられる可能性もあります。
課徴金納付命令は、 企業の信用を大きく損なうだけでなく、 経営にも深刻な影響を与える可能性があります。
したがって、 不公正取引は絶対に行わないように注意する必要があります。

違反事例と対策

過去の違反事例を参考に、 どのような広告表現が問題となるのかを 理解しておきましょう。
例えば、 過去の運用実績を過大に表示した事例や、 リスクに関する記述を小さく表示した事例、 断定的な表現を用いた事例などがあります。
これらの事例を参考に、 自社の広告表現に問題がないかどうかを チェックする必要があります。
また、 金融庁が公表している 「金融商品販売等に関する法律」や 「金融商品取引法」に関するQ&Aも参考になります。
これらのQ&Aには、 具体的な事例に基づいて、 どのような広告表現が問題となるのかが 解説されています。
弁護士や専門家への相談も有効な対策です。
広告表現に問題がないかどうか、 専門家の意見を聞くことで、 より確実に金商法を遵守することができます。
また、 社内研修を実施することも有効です。
従業員に金商法に関する知識を習得させ、 広告表現に関する意識を高めることで、 違反行為を未然に防ぐことができます。
金商法は、 改正されることがあるため、 常に最新の情報を収集し、 対応する必要があります。

まとめ:金商法を遵守した広告表現を

金融商品取引法は、投資家を保護し、 金融市場の健全性を維持するために 不可欠な法律です。
広告を作成する際には、 この法律のルールを十分に理解し、 遵守することが極めて重要です。
投資家保護の観点からも、 常に正確で信頼できる情報を 提供するように心がけましょう。
不確かな情報や誇張された表現は避け、 リスクとリターンのバランスを 明確に示すことが求められます。
もし不安な点があれば、 弁護士や金融に関する専門家への相談を 積極的に検討してください。
専門家は、 広告表現が金商法に適合しているかどうかを 判断し、適切なアドバイスを提供してくれます。
金商法を遵守することは、 企業の社会的責任を果たす上で 重要な要素であり、 長期的な信頼関係を築く上で不可欠です。
常に最新の情報を把握し、 適切な広告表現を心がけることで、 健全な金融市場の発展に貢献しましょう。

記事監修

この記事の監修は

株式会社トラスクエタ 代表取締役
高橋 聡

デジタルマーケティング・業法対応(薬機法・景表法)のプロフェッショナリスト。
単品リピート通販のランディングページなど、 インターネットからの来客数(EC、リアル店舗)を増やすデジタルプロモーションに実績を持つ。
美容系サプリや健康食品など、累計400サイトのデジタルマーケティングに携わり、売上アップや集客のメソッドを提供してきた。
年商1億円未満の小中事業者のお悩みから、上場企業の大型案件まで幅広く対応。登壇したセミナーには今まで200社以上が参加。

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