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景品表示法とは?不当表示から消費者を守るための企業向け対策ガイド

景品表示法とは?不当表示から消費者を守るための企業向け対策ガイド

景品表示法の基本と目的

景品表示法とは?

景品表示法は、消費者が商品やサービスを選択する際に、誤った情報や誇大な広告によって不利益を被らないようにするための法律です。
具体的には、商品やサービスの品質、内容、価格などについて、実際よりも著しく良く見せかける表示や、有利であると誤解させる表示を規制しています。
この法律の目的は、消費者が合理的かつ自主的に商品やサービスを選択できる環境を整備することにあります。
不当な表示や景品による過剰な誘引を排除し、公正な競争を促進することで、消費者の利益を保護することを目的としています。
景品表示法は、事業者に対して、正確で客観的な情報を提供する責任を課しています。
消費者は、提供された情報を基に、自身にとって最適な商品やサービスを選択するため、事業者は常に誠実な情報提供を心がける必要があります。
違反した場合には、措置命令や課徴金などの厳しい処分が科されることもあります。

規制対象となる不当表示の種類

景品表示法では、消費者を欺く可能性のある様々な不当表示を規制しています。
代表的なものとして、優良誤認表示、有利誤認表示、その他、消費者が誤認するおそれのある表示が挙げられます。
優良誤認表示とは、商品やサービスの品質、性能、効果などについて、実際よりも著しく優良であると誤解させる表示のことです。
例えば、実際には効果がないのに「使用後すぐに効果を実感!」といった誇大な表現を用いるケースなどが該当します。
有利誤認表示とは、価格や取引条件について、実際よりも著しく有利であると誤解させる表示のことです。
例えば、「通常価格1万円」と表示しながら、実際には過去にその価格で販売したことがない場合や、「今だけ半額!」と表示しながら、実際には常に半額で販売している場合などが該当します。
これらの不当表示は、消費者の適切な商品選択を妨げ、不利益をもたらす可能性があるため、景品表示法によって厳しく規制されています。
事業者は、広告や表示を行う際には、客観的な根拠に基づいた正確な情報を提供するように努める必要があります。

不当景品類とは?

景品表示法では、過大な景品類の提供も規制対象となっています。
これは、過剰な景品によって消費者の合理的な判断が妨げられ、商品やサービスの品質ではなく、景品の魅力に惹かれて購入してしまうことを防ぐためです。
景品類は、一般懸賞、共同懸賞、総付景品などに分類され、それぞれ上限額が定められています。
一般懸賞とは、クイズやゲームなどの偶然性や、特定行為の優劣によって景品を提供するものです。
共同懸賞とは、複数の事業者が共同で景品を提供するもので、商店街の福引などが該当します。
総付景品とは、商品やサービスの購入者全員に提供される景品のことです。
これらの景品類の価額は、商品やサービスの価格に対して一定の割合を超えることが禁じられています。
これは、景品が商品やサービスの本来の価値を覆い隠し、消費者の適切な判断を妨げることを防ぐためです。
事業者は、景品を提供する際には、景品表示法に定められた上限額を遵守する必要があります。

優良誤認表示とは?

優良誤認表示の具体例

優良誤認表示とは、商品またはサービスの品質、規格、その他の内容について、実際のものよりも著しく優良であると誤認させる表示のことです。
消費者がその表示によって、実際よりも良いものだと信じて購入してしまうことを防ぐために、景品表示法で禁止されています。
具体的な例としては、食品の成分表示における虚偽の記載や、家電製品の性能に関する誇大広告、健康食品の効果効能に関する根拠のない主張などが挙げられます。例えば、実際には国産ではない食品を「国産」と表示したり、効果がないのに「〇〇に効果あり!」と謳ったりするケースが該当します。
また、科学的な根拠がないのに「〇〇大学で研究!」などと表示することも優良誤認表示にあたります。
消費者が商品を選択する際に、品質や性能は重要な判断基準となります。
そのため、事業者は、商品の品質や性能について正確な情報を提供する必要があります。
客観的なデータや根拠に基づかない誇大な表示は、消費者を欺く行為として厳しく規制されています。

有利誤認表示とは?

有利誤認表示とは、商品やサービスの価格、取引条件などについて、実際のものよりも著しく有利であると誤認させる表示のことです。
消費者が価格や条件につられて購入してしまい、後で不利益を被ることを防ぐために、景品表示法で禁止されています。
具体的な例としては、二重価格表示、割引率の虚偽表示、有利な取引条件の誇張などが挙げられます。
二重価格表示とは、実際には販売実績のない高額な価格を「定価」として表示し、そこから大幅な割引を提示するものです。
割引率の虚偽表示とは、実際よりも高い割引率を表示するものです。
また、実際には適用されない条件を提示して「〇〇%オフ!」と表示するケースも有利誤認表示にあたります。
価格や取引条件は、消費者が商品を選択する上で重要な要素です。
そのため、事業者は、価格や取引条件について正確な情報を提供する必要があります
不当な価格表示や誇大な取引条件の表示は、消費者を欺く行為として厳しく規制されています。

ステルスマーケティング(ステマ)とは?

ステルスマーケティング、通称ステマとは、広告であることを隠して、消費者の口コミや評判を装って商品やサービスを宣伝する行為のことです。
消費者を欺く行為として、景品表示法で規制されています。
具体的には、企業がインフルエンサーやブロガーに依頼し、商品やサービスをPRしてもらう際に、広告であることを明示しないケースが該当します。
インフルエンサーやブロガーは、あたかも自分が実際に使用して良いと感じたかのように装い、商品やサービスを推奨します。
消費者は、それを広告とは認識せずに、純粋な口コミや評判だと信じてしまうため、誤った情報に基づいて購入を決定してしまう可能性があります。
ステルスマーケティングは、消費者の信頼を裏切る行為であり、企業のイメージを大きく損なう可能性があります。
事業者は、広告を行う際には、広告であることを明確に表示し、消費者が広告であることを認識できるようにする必要があります。
アフィリエイト広告の場合も同様に、広告であることを明示する必要があります。

景品表示法違反によるリスクと対策

違反した場合の措置

景品表示法に違反した場合、消費者庁から厳しい措置が課せられる可能性があります。
まず、違反行為の是正を求める措置命令が出されることがあります。
措置命令では、不当表示の停止、再発防止策の策定、消費者への周知などが命じられます。
措置命令に従わない場合、さらに厳しい処分が科されることもあります。
また、違反行為によって消費者が損害を被った場合、損害賠償請求を受ける可能性もあります。
不当表示によって商品やサービスを購入した消費者は、その損害を企業に賠償するよう求めることができます。
企業の社会的信用が低下することも大きなリスクです。
消費者は、不当表示を行った企業に対して不信感を抱き、商品やサービスの購入を控えるようになるでしょう。
さらに、違反の程度によっては、課徴金納付命令が出されることもあります。
課徴金は、違反行為によって得た利益の一部を国に納付するもので、その金額は高額になる可能性があります。
これらの措置は、企業の経営に大きな影響を与える可能性があります。

具体的な対策方法

景品表示法違反のリスクを回避するためには、事前の対策が不可欠です。
まず、広告表示を行う際には、客観的な根拠となる資料を保管し、表示内容が事実に基づいていることを確認しましょう。
商品の品質や性能に関する表示であれば、試験データや調査結果などを保管しておく必要があります。
価格に関する表示であれば、過去の販売実績や市場価格などを調査し、根拠となる資料を揃えておくことが重要です。
従業員向けの研修を実施し、景品表示法に関する知識を深めることも重要です。
広告担当者だけでなく、商品開発や販売担当者など、幅広い従業員が景品表示法に関する知識を持つことで、組織全体で不当表示を防止することができます。
ステルスマーケティング対策としては、インフルエンサーやブロガーに依頼する際に、広告であることを明示する契約を締結し、表示内容を事前に確認するようにしましょう。
また、自社のウェブサイトやSNSにおいても、広告であることを明確に表示するように心がけましょう。
定期的に広告表示のチェック体制を構築することも効果的です。
第三者機関に依頼して、広告表示の適法性を評価してもらうことも有効です。

最新の法改正と事例

景品表示法は、社会情勢や消費者ニーズの変化に対応するため、定期的に改正が行われています。
最新の法改正情報を常に把握し、自社の広告表示が法令に準拠しているかを確認することが重要です。
消費者庁のウェブサイトや関連セミナーなどを活用することが有効です。
確約手続とは、事業者が違反のおそれがある行為について、消費者庁に自主的に申し出て、改善計画を提出し、その計画に基づいて改善措置を実施することで、措置命令や課徴金納付命令を回避できる制度です。
自主報告制度とは、事業者が自社の違反行為を消費者庁に自主的に報告することで、課徴金が減免される制度です。
これらの制度を活用することで、違反行為を早期に是正し、リスクを軽減することができます。
過去の違反事例を参考に、自社の広告表示を見直すことも有効です。
消費者庁のウェブサイトには、過去の違反事例が公開されています。
これらの事例を分析することで、どのような表示が問題となりやすいのか、どのような点に注意すべきかを学ぶことができます。

違反事例から学ぶ

過去の違反事例の分析

過去の景品表示法違反事例を分析することは、自社が同様の過ちを犯さないための重要な教訓となります。
消費者庁が公表している措置命令や課徴金納付命令の事例を詳細に検討することで、どのような表示が問題視されやすいのか、どのような根拠が求められるのかを具体的に理解できます。
例えば、食品の原産地表示に関する違反事例では、実際とは異なる産地を表示したり、曖昧な表現で消費者を誤認させたりするケースが見られます。
健康食品の効果効能に関する違反事例では、科学的根拠がないにも関わらず、特定の病気に効果があるかのような表現を用いるケースが多発しています。
これらの事例から、自社の広告表示に潜むリスクを洗い出し、改善に繋げることが可能です。

業界別の注意点

景品表示法は、すべての業界に共通して適用されますが、業界の特性によって特に注意すべき点が存在します。
例えば、不動産業界では、物件の所在地、面積、価格、周辺環境などに関する表示が厳格に規制されています。
実際よりも有利な条件を提示したり、不確かな情報を流したりすることは、消費者の誤解を招き、重大な不利益をもたらす可能性があります。
健康食品業界では、商品の効果効能に関する表示に特に注意が必要です。
医薬品的な効果を謳ったり、科学的根拠のない情報を流したりすることは、薬機法にも抵触する可能性があります。
機能性表示食品の広告表示には、消費者庁が定めるガイドラインを遵守し、科学的根拠に基づいた正確な情報を提供する必要があります。
金融業界では、金融商品のリスクに関する表示が重要です。
有利な点ばかりを強調し、リスクについて十分に説明しないことは、消費者の誤解を招き、大きな損害を与える可能性があります。
金融商品の広告表示には、リスクとリターンのバランスを明確に示し、消費者が十分に理解できるよう努める必要があります。
自社の属する業界における特有の規制やガイドラインを理解し、適切な広告表示を心がけましょう。

AI技術を活用した広告表示のリスク

近年、AI技術の進化により、広告文の自動生成やターゲティング広告など、様々な場面でAIが活用されています。
しかし、AIが生成したコンテンツが、意図せず景品表示法に抵触するリスクも存在します。
AIは、大量のデータを学習することで、効果的な広告文を生成することができますが、その過程で不正確な情報や誇張された表現を生成してしまう可能性があります。
また、AIが特定のターゲット層に向けて広告を表示する際に、差別的な表現や偏った情報を表示してしまうリスクもあります。
AIによる広告表示を行う際には、人間の目で内容を十分に確認し、不当表示に該当しないように注意する必要があります。
特に、健康食品や美容商品など、効果効能に関する表示は、科学的根拠に基づいているかを確認することが重要です。
AIが生成した広告文をそのまま使用するのではなく、専門家によるチェック体制を構築し、景品表示法を遵守した広告表示を心がけましょう。

まとめ:景品表示法を遵守し、信頼される企業へ

景品表示法は、消費者を守るための重要な法律であり、企業が遵守すべき義務です。
不当な表示や景品類の提供は、消費者の信頼を失い、企業のブランドイメージを損なうだけでなく、法的な制裁を受ける可能性もあります。
本記事で解説した内容を参考に、自社の広告表示を見直し、消費者の信頼を得られるような誠実な企業活動を心がけましょう。
広告表示を行う際には、客観的な根拠に基づいた正確な情報を提供し、消費者を誤解させるような表現は避けるようにしましょう。
従業員向けの研修を実施し、景品表示法に関する知識を深めることも重要です。
最新の法改正情報を常にチェックし、適切な対策を講じることが、企業が持続的に成長していくための重要な要素となります。
景品表示法を遵守することは、単に法律を守るだけでなく、消費者との信頼関係を築き、企業のブランド価値を高めることにも繋がります。
誠実な情報提供と適切な広告表示を通じて、消費者に信頼される企業を目指しましょう。

記事監修

この記事の監修は

株式会社トラスクエタ 代表取締役
高橋 聡

デジタルマーケティング・業法対応(薬機法・景表法)のプロフェッショナリスト。
単品リピート通販のランディングページなど、 インターネットからの来客数(EC、リアル店舗)を増やすデジタルプロモーションに実績を持つ。
美容系サプリや健康食品など、累計400サイトのデジタルマーケティングに携わり、売上アップや集客のメソッドを提供してきた。
年商1億円未満の小中事業者のお悩みから、上場企業の大型案件まで幅広く対応。登壇したセミナーには今まで200社以上が参加。

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