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薬機法の基礎と広告表現ルールを徹底解説

薬機法の基礎と広告表現ルールを徹底解説

薬機法とは?基本と広告規制の概要

薬機法(医薬品医療機器等法)の目的

薬機法(医薬品医療機器等法)は、国民の健康な生活を支えるために非常に重要な法律です。
その主な目的は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、そして再生医療等製品といった、人々の健康に直接関わる製品の品質、有効性、そして安全性を確保することにあります。
これらの製品が市場に出回る前に、厳格な基準を満たしているかを確認し、使用する人々が安心して利用できるようにすることが、薬機法の核となる部分です。
さらに、薬機法は単に製品の品質を管理するだけでなく、これらの製品に関する情報が適切に提供されるように規制しています。
広告や表示を通じて、製品の正しい使用方法や期待できる効果、潜在的なリスクなどを消費者に正確に伝えることが求められます。
これにより、消費者は製品を理解した上で、自身の健康状態やニーズに合った選択をすることが可能になります。
特に広告に関しては、消費者を誤解させるような虚偽や誇大な表現を厳しく禁じています。
これは、消費者が不正確な情報に基づいて製品を購入し、健康被害を受けることを防ぐための措置です。
広告は、製品の有効性や安全性を裏付ける科学的な根拠に基づいていなければならず、消費者に過度な期待を抱かせるような表現は避ける必要があります。
薬機法は、製品の製造から販売、広告に至るまで、一貫して消費者の健康と安全を守るための枠組みを提供しているのです。

広告における薬機法の規制範囲

薬機法は、広告における表現を厳しく規制することで、消費者が誤った情報に基づいて製品を選択することを防ぎます。
この法律が規制する範囲は非常に広く、製品の効果、効能、安全性に関するあらゆる表現が含まれます。
特に、医薬品や医療機器など、人体に直接影響を与える可能性のある製品に関しては、その規制はより厳格になります。
薬機法では、未承認の医薬品や医療機器に関する広告は原則として禁止されています。
これは、承認されていない製品の有効性や安全性が確認されていないため、消費者が不利益を被る可能性を防ぐためです。
また、承認された製品であっても、承認された範囲を超えた効果や効能を謳うことは、誇大広告として禁止されています。
さらに、薬機法は、広告の内容が事実に反する場合や、科学的な根拠に基づかない場合も規制します。
例えば、臨床試験の結果を歪曲したり、都合の良いデータだけを提示したりする行為は、消費者を誤解させるものとして禁じられています。
広告は、客観的なデータや研究結果に基づいて、正確かつ公平な情報を提供する義務があります。
広告に使用する表現についても、薬機法は細かく規定しています。
例えば、「絶対に治る」といった断定的な表現や、「副作用は一切ない」といった安全性を強調しすぎる表現は、消費者に誤解を与える可能性があるため、避けるべきです。
広告は、製品の利点だけでなく、潜在的なリスクについても適切に伝える必要があります。

広告責任者の役割

広告責任者は、薬機法を遵守した適切な広告表示を行う上で、非常に重要な役割を担っています。
その主な責任は、広告の内容が薬機法に違反していないかを事前に確認し、問題がある場合は修正または削除することです。
広告責任者は、薬機法に関する深い知識を持ち、最新の規制やガイドラインを常に把握しておく必要があります。
具体的には、広告に使用するキャッチコピーや表現、画像、動画などが、薬機法の規制に抵触していないかを細かくチェックします。
また、広告に掲載する体験談や口コミについても、その内容が事実に反していないか、誇張された表現が含まれていないかなどを確認する必要があります。
広告責任者は、広告制作に関わるすべての関係者と連携し、薬機法に関する情報を共有し、適切な広告表示を徹底する必要があります。
さらに、広告責任者は、広告表示に関するリスクを評価し、そのリスクを軽減するための措置を講じる必要があります。
例えば、広告表現が薬機法に抵触する可能性がある場合は、表現を変更したり、エビデンスを追加したりするなどの対策を検討します。
また、広告表示に関する苦情や問い合わせがあった場合は、迅速かつ適切に対応し、問題解決に努める必要があります。
広告責任者は、企業の信頼性を守るためにも、薬機法を遵守した広告表示を徹底することが求められます。

違反しないためのキャッチコピー作成のポイント

使用できないNGワードの把握

薬機法に違反しないキャッチコピーを作成するためには、まず、使用できないNGワードをしっかりと把握することが不可欠です。
これらのNGワードは、医薬品的な効果を暗示したり、消費者に誤解を与えたりする可能性のある表現を含んでいます。
例えば、「治る」「改善する」「効果がある」「効能がある」といった直接的な治療効果を謳う言葉は、医薬品にのみ使用が認められているため、医薬品以外の製品に使用すると薬機法違反となります。
また、「若返る」「老化を防ぐ」「免疫力を高める」といった、人体に対する機能や作用を過度に強調する表現も、医薬品的な効果を暗示するものとしてNGとされています。
これらの表現は、消費者に製品が病気の治療や予防に役立つかのような誤解を与えかねません。
さらに、「安全」「無害」「副作用なし」といった、製品の安全性を過度に強調する表現も、消費者に誤解を与える可能性があるため、避けるべきです。
これらのNGワードに加えて、具体的な病名や症状を挙げて、製品がその病気や症状に効果があるかのように暗示する表現も、薬機法違反となります。
例えば、「糖尿病に効果がある」「高血圧を改善する」といった表現は、医薬品にのみ使用が認められているため、医薬品以外の製品に使用することはできません。
キャッチコピーを作成する際には、これらのNGワードを避け、消費者に誤解を与えない、正確で適切な表現を心がけることが重要です。

体験談・口コミの利用時の注意点

体験談や口コミは、製品の魅力を伝える上で非常に有効な手段ですが、薬機法に抵触しないように注意深く取り扱う必要があります。
最も重要なことは、体験談や口コミはあくまで個人の感想であり、すべての人に同様の効果があるとは限らないことを明確にすることです。
この点を明示せずに、体験談や口コミをあたかも製品の効果を保証するかのように使用すると、消費者を誤解させる広告とみなされ、薬機法違反となる可能性があります。
体験談や口コミを広告に掲載する際には、「個人の感想です」「効果には個人差があります」といった注意書きを必ず記載するようにしましょう。
また、体験談や口コミの内容が、誇張された表現や虚偽の内容を含んでいないかを確認することも重要です。例えば、「この製品を使ったら、長年悩んでいたシミが完全に消えた」といった、事実に反する可能性のある表現は、避けるべきです。
さらに、体験談や口コミを掲載する際には、その情報源が信頼できるものであるかを確認することも大切です。
匿名の情報や、製品の販売者が作成したと思われる情報を使用すると、客観性に欠けるとして、消費者の信頼を損なう可能性があります。
体験談や口コミは、製品の利点を伝えるだけでなく、潜在的なリスクについても言及することが望ましいです。例えば、「この製品は私には合いましたが、肌が弱い方は注意が必要かもしれません」といった、正直な感想を掲載することで、消費者の信頼を得ることができます。

エビデンスに基づいた表現の重要性

製品の効果や効能を謳う場合、客観的なデータや研究結果に基づいたエビデンスを示すことは、薬機法を遵守する上で非常に重要です。
エビデンスがないにも関わらず、効果や効能を謳うと、誇大広告とみなされ、薬機法違反となる可能性があります。
エビデンスとして認められるのは、臨床試験や動物実験などの科学的なデータであり、単なる個人の感想や伝聞はエビデンスとは認められません。
エビデンスを示す際には、そのデータが信頼できるものであるかを確認することが重要です。
例えば、試験方法が適切であるか、参加者の数が十分であるか、統計的な有意差があるかなどを確認する必要があります。
また、エビデンスを示す際には、そのデータが製品の効果や効能を直接的に裏付けるものである必要があります。
例えば、製品の成分に関する研究データがあっても、その成分が実際に製品の効果や効能を発揮することを裏付けるものでなければ、エビデンスとしては不十分です。
エビデンスがない場合は、「効果がある可能性があります」「効果が期待できます」といった曖昧な表現に留めるべきです。
ただし、これらの表現を使用する場合でも、消費者に誤解を与えないように注意が必要です。
例えば、「効果がある可能性があります」という表現を使用する場合には、その根拠となる情報源を明示することが望ましいです。
エビデンスに基づいた表現を心がけることで、薬機法を遵守し、消費者の信頼を得ることができます。

業界別の注意点:化粧品、健康食品

化粧品広告における表現の限界

化粧品広告における表現は、薬機法によって厳しく制限されています。
化粧品は、人体を清潔にし、美化するための製品であり、医薬品のような治療効果を謳うことはできません。
例えば、「シミを消す」「シワを改善する」「ニキビを治す」といった表現は、医薬品的な効果を暗示するものとして、化粧品広告では使用できません。
化粧品広告で使用できる表現は、あくまで化粧品の本来の目的である「清潔にする」「美化する」といった範囲に限られます。
例えば、「肌を潤す」「肌にハリを与える」「肌を明るくする」といった表現は、化粧品広告で使用できますが、その効果の範囲を明確にする必要があります。
例えば、「肌を潤す」という表現を使用する場合には、「乾燥による小ジワを目立たなくする」といった具体的な効果を付け加えることで、表現の範囲を明確にすることができます。
また、「美白効果」「保湿効果」といった表現も、使用できる範囲に注意が必要です。
「美白効果」という表現を使用する場合には、「メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ」といった具体的な効果を明示する必要があります。
「保湿効果」という表現を使用する場合には、「肌の水分を保ち、乾燥を防ぐ」といった具体的な効果を明示する必要があります。
化粧品広告を作成する際には、薬機法を遵守し、消費者に誤解を与えない、正確で適切な表現を心がけることが重要です。

健康食品広告での注意点

健康食品は、健康の維持・増進をサポートする食品であり、医薬品のように疾病の治療や予防を目的とした表現は、薬機法によって厳しく禁じられています。
健康食品広告では、「免疫力アップ」「生活習慣病予防」「血糖値を下げる」「血圧を下げる」といった、病気の治療や予防を暗示する表現は使用できません。
これらの表現は、消費者に健康食品が病気の治療や予防に役立つかのような誤解を与えかねません。
健康食品広告で使用できる表現は、あくまで健康の維持・増進をサポートするという範囲に限られます。
例えば、「健康維持に役立つ」「栄養補給に最適」「美容をサポートする」といった表現は、健康食品広告で使用できますが、その効果の範囲を明確にする必要があります。
また、健康食品の成分に関する情報を掲載する際には、その成分が健康にどのように役立つかを具体的に説明する必要があります。
例えば、「食物繊維は、腸内環境を整え、便秘を改善する効果があります」といったように、具体的な効果を明示することで、消費者の理解を深めることができます。
健康食品広告を作成する際には、薬機法を遵守し、消費者に誤解を与えない、正確で適切な表現を心がけることが重要です。
また、健康食品は、医薬品ではありませんので、病気の治療や予防を目的として使用するものではないことを明確に伝える必要があります。

機能性表示食品の活用

機能性表示食品は、事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示できる食品です。
ただし、機能性表示食品として販売するためには、消費者庁への届出が必要であり、表示できる範囲も限定されています。
機能性表示食品制度を活用することで、健康食品の広告において、より具体的な表現を使用することが可能になりますが、薬機法を遵守する必要があります。
機能性表示食品として表示できる機能性は、疾病の治療や予防に関するものではなく、あくまで健康の維持・増進をサポートする範囲に限られます。
例えば、「おなかの調子を整える」「血圧が高めの方に適する」「目の疲労感を軽減する」といった機能性は表示できますが、「糖尿病を改善する」「高血圧を治す」「視力を回復する」といった表現は使用できません。
機能性表示食品の広告を作成する際には、消費者庁が公表しているガイドラインを遵守し、表示できる範囲を逸脱しないように注意する必要があります。
また、機能性表示食品の広告には、製品の安全性に関する情報や、摂取する際の注意点などを記載する必要があります。
例えば、「多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません」「一日摂取目安量を守ってください」といった注意書きは、必ず記載する必要があります。
機能性表示食品制度を活用することで、消費者に正確な情報を提供し、製品の信頼性を高めることができますが、薬機法を遵守することが大前提となります。

再発防止のためのチェック体制

薬機法違反を未然に防ぐためには、広告制作の各段階で、薬機法の専門家によるチェック体制を構築することが不可欠です。
このチェック体制は、広告の企画段階から、コピーライティング、デザイン、そして最終的な広告掲載に至るまで、一貫して薬機法の視点を取り入れることを目的としています。
具体的には、広告の企画段階で、製品の特性や訴求したい効果を踏まえ、どのような表現が薬機法に抵触する可能性があるかを事前に検討します。
コピーライティングの段階では、使用する言葉遣いや表現が、消費者に誤解を与えないか、誇大広告に該当しないかなどを細かくチェックします。
デザインの段階では、画像やイラストが、製品の効果を過剰に連想させないか、不適切な表現が含まれていないかなどを確認します。
そして、最終的な広告掲載前には、広告全体を改めてチェックし、薬機法に違反する可能性のある箇所がないかを徹底的に確認します。
このチェック体制には、薬機法に関する専門知識を持つ担当者を配置することが望ましいですが、社内に専門家がいない場合は、外部の専門機関や弁護士に依頼することも有効です。
また、広告制作に関わるすべての担当者が、薬機法に関する基本的な知識を身につけるための研修を実施することも重要です。
薬機法管理者講座などを活用し、社内の担当者の知識レベルを向上させることも有効です。

まとめ:薬機法を遵守し、信頼される広告を

適法性と効果を両立させる

薬機法を遵守することは、単に法律を守るというだけでなく、企業の信頼性を高め、長期的な成功につながる重要な要素です。
消費者は、企業が提供する情報が正確で信頼できるものであることを期待しており、薬機法を遵守した広告は、その期待に応えるための第一歩となります。
法律の範囲内で、消費者の心に響く、効果的なキャッチコピーを作成することは、容易ではありませんが、クリエイティブな発想と薬機法に関する知識を組み合わせることで、両立は可能です。
例えば、製品の具体的な効果を直接的に表現することが難しい場合は、製品を使用することで得られる感情や体験を表現する、間接的なアプローチを試みることができます。
また、製品の成分や製造方法にこだわり、その独自性をアピールすることで、消費者の興味を引くことができます。
重要なことは、常に消費者の視点に立ち、消費者が求めている情報を正確に、そして分かりやすく伝えることです。
薬機法を遵守することは、企業の責任であると同時に、消費者との信頼関係を築き、長期的なビジネスの成功につながる投資であると言えます。
法律の範囲内で、消費者の心に響く、効果的なキャッチコピーを作成し、信頼される広告を展開することで、企業のブランド価値を高め、持続的な成長を実現しましょう。

最新情報を常にキャッチアップ

薬機法は、社会情勢や科学技術の進歩に合わせて、頻繁に改正されることがあります。
そのため、常に最新の情報を把握しておくことは、薬機法を遵守した広告を作成する上で非常に重要です。
業界団体や専門家のセミナー、メルマガなどを活用し、知識をアップデートすることで、常に最新の規制に対応した広告を作成することができます。
具体的には、厚生労働省や消費者庁が発表する最新の情報を定期的にチェックし、薬機法に関するセミナーや研修に参加することで、知識をアップデートすることができます。
また、業界団体が発行するガイドラインや事例集などを参考にすることで、他の企業がどのような広告表現を使用しているか、どのような点に注意しているかを知ることができます。
さらに、薬機法に関する専門家のブログやSNSなどをフォローすることで、最新の情報を手軽に収集することができます。
薬機法は、複雑で理解が難しい部分もありますが、常に最新の情報を把握し、適切な知識を身につけることで、薬機法を遵守した広告を作成することができます。
知識をアップデートし続けることは、企業の信頼性を高め、長期的な成功につながる重要な要素であると言えます。

専門家への相談も検討

広告表現に不安がある場合は、薬機法の専門家や弁護士に相談することを検討しましょう。
専門家は、薬機法に関する豊富な知識と経験を持っており、広告表現のリスクを客観的に評価し、適切なアドバイスを提供してくれます。
専門家への相談は、費用がかかる場合がありますが、薬機法違反による罰則や企業の信頼失墜といったリスクを考えると、非常に有効な手段と言えます。
専門家を選ぶ際には、薬機法に関する専門知識だけでなく、広告業界の動向や消費者の心理にも精通しているかどうかを確認することが重要です。
また、過去の相談実績や、どのような企業をサポートしてきたかなども参考にすると良いでしょう。
専門家への相談は、広告を作成するだけでなく、広告に関する社内体制の整備や、社員向けの研修など、包括的なサポートを受けることも可能です。
専門家との連携を通じて、薬機法を遵守した広告を作成し、企業の信頼性を高めることができます。
客観的な視点からアドバイスを受けることで、リスクを回避し、より効果的な広告戦略を立てることができます。
広告表現に不安がある場合は、迷わず専門家に相談し、安心して広告を展開しましょう。

記事監修

この記事の監修は

株式会社トラスクエタ 代表取締役
高橋 聡

デジタルマーケティング・業法対応(薬機法・景表法)のプロフェッショナリスト。
単品リピート通販のランディングページなど、 インターネットからの来客数(EC、リアル店舗)を増やすデジタルプロモーションに実績を持つ。
美容系サプリや健康食品など、累計400サイトのデジタルマーケティングに携わり、売上アップや集客のメソッドを提供してきた。
年商1億円未満の小中事業者のお悩みから、上場企業の大型案件まで幅広く対応。登壇したセミナーには今まで200社以上が参加。

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